みそ文

音楽会をたのしみに

 夜中にトイレに起きたときなどに、ぼうっと便座に腰掛け、ああなんとなく暑いなあるいは寒いなと感じつつ、えーとこれから私と世の中は夏に向かっているのだったかな、それとも冬に向かっているのかな、と考えて、あれれわからないぞと思いながらまた寝ることが増えてきた気がする。

 職場の同僚が「興味があればチケットあるから言ってね」と誘ってくれていた混声合唱と管楽器の音楽会のチケットを買った。日曜日の午後二時からね、と時間の段取りを考えて土曜の夜の眠りに就く。本日日曜日はよいお天気で、五竜岳に行った夫もさぞかし満足していることだろうと思いながら、洗濯大会と押入れ片付け大会をしてから、音楽会に出かける支度をする。

 押し入れを片付けた時に、使うアクセサリーと使わないアクセサリーを分類し、使うものは残し、使わないけれど石や工芸品として鑑賞するために手元に置きたいものを残し、鑑賞も使用もないと判断したものには「これまでお世話になりました、どうもありがとう」と挨拶をして燃やせないゴミ袋へと見送る。そんなついでがあったから、しばらく使っていなかったイヤリングを今日は耳たぶに飾って出かけた。

 音楽会が開催される建物の駐車場には満車の表示が出ており入り口には何台もの車が列をなしていてここに駐めるのは無理そうねと判断し隣の立体駐車場に移動してみる。が、そこも満車の表示と車の列で、少し離れたところにある平面駐車場に行く。私の前の車がすすいーっと駐車場に入る。ああ、よかったここは空いているのね、と前の車が入ってバーが下りてきたところで一旦停止して駐車券のボタンを押すが券が出てこない。なにゆえ、と表示を見ると「満車につきしばらくお待ち下さい」と書いてある。しばらくってどれくらいかなあ、二時からの開演に間に合うかなあ、と思いしばらく待機。私が駐車場入り口に停まったままでいるから、他の車は「ここは満車なのね」と判断してよそに行く。

 五分くらい待っただろうか。一台の車が出て行き、私の運転席側にある駐車場の機械から駐車券がびびっと出てきた。出て行った車がとまっていたところにしゅしゅうっと入って駐める。日差しが眩しい。日傘をさして音楽会開催会場の建物を目指す。建物の中に入りエレベーターに乗る。チケットで階と会場名を確認して八階まであがる。エレベーターの透明な箱と透明な建物の中から遠くのビルや山の稜線がきれいに見える。見晴らしがよくて気持ちいいなあ。
 
 八階のフロアに出て受付のほうにむかうが、なんだろう、なんとなく予想していたものとはなにかの趣が異なる。まず受付周辺を歩く出演者と思われる人たちのいでたちが「混声合唱と管楽器」のイメージとは異なる和服。着物と袴。いや、混声合唱と管楽器の奏者のひとたちが着物と袴で登場されても全然かまいはしないのだけど。そして会場から漏れ聞こえる発表中と思われる音声が「混声合唱」ではなくて、どちらかというと「単声独唱」。そして私はこの「単声独唱」がなにかをおそらく知っている。これは、詩吟、ではないだろうか。私が詩吟を聴いたのはもうずいぶんむかし、母と弟が詩吟を習っていた当時のことだからそうとう昔のことで、当時の私が知っている詩吟は基本的に単声独唱だったのだが、もしかすると詩吟の世界にも混声合唱で唄う方法ができたのだろうか。しかし同僚はフルート(管楽器)奏者ではあるが詩吟とコラボレーションするというような話はしていなかったような、むむむむむ。

 そこでふと自分の手のひらのチケットに目を落とすと、そこには10月6日日曜日という日付が。えーと、今日は9月29日だったような気がするわ。昨日仕事で薬袋に押した日付のスタンプが9月28日だったもの。ということは10月6日は来週?

 そうだ、そうだ、来週だ。あらまああらまあ勘違い勘違い。さ、音楽会会場の下見と予行演習はこれにて終了ということにして帰りましょうね、帰り道でいつものスーパーに行って一週間ぶんの食材買い出しもしましょうね、と再び透明なエレベーターに乗って一階におりる。やっと見つけてとめた駐車場の車に戻る。駐車料金はどうだろう百円くらいかなどうかな、と思い駐車券を出口の機械に入れる。駐車料金は0円と表示される。

 駅のこちら側の駐車場はどこも混雑してなかなか駐められないということを久しぶりに思い出したから、来週の音楽会当日にまたここに来るときには、駅の反対側の民間駐車場に駐めて歩いてくることにしましょう、と決める。

 夫が五竜岳で泊まった山小屋はお客さんでいっぱいだったけれど、なんとかひとり一枚の布団で眠ることができたという。山小屋の布団はふつうのシングル布団よりも一回りサイズが小さくて、すこししっとりとしていて、布団を敷き詰めた部屋には足の踏み場がなくて、足の下には他の人の頭がすぐそこにある。部屋の中程に寝る人は頭のすぐ上に他人の足があり自分の足のすぐ下には他人の頭がある状態。夫は頭が壁際になる位置に寝られたから足の下に他人の頭は感じるが自分の頭の上に他人の足は感じることなく眠れた。山小屋の混み具合としては、夫の山小屋体験のなかでは最初の富士山につづく混雑で、でもシャツを着替え靴下を履き替えるくらいの余裕はあった(富士山では着替えも履き替えもできなかった)。終始快晴だった山の写真はどれも秋晴れの光に満ちている。     押し葉

それぞれの休日

 夫は金曜日の夜から山へ出かけた。仕事を終えたら高速道路に乗り目的の山の登山口駐車場まで数時間走行し車中泊。本日土曜日の早朝から登り始めて午後には山小屋着。山小屋では二連泊する。山小屋にて一泊ののち、明日日曜日の朝から山頂を目指し、その山のもうひとつむこうにある山の山頂まで行ってからベースとしている山小屋に戻る。月曜日の朝数時間かけて山小屋から駐車場まで下山してまた車を運転して帰ってくる。

 土曜日は私が夕方か夜まで仕事のことが多いのだが、今日はたまたま休みで日曜日月曜日と合わせると三連休になったから、私も夫と一緒に出かけて私は温泉泊にしてもいいなあという計画もあったのだが、金曜日の私の仕事が何時に終わるかわからない(結局夜八時過ぎまでかかった)こともあり今回は同行を見合わせた。

 そうして迎えたひとりでの三連休。洗濯機に酸素系漂白剤の粉をたっぷりと入れてお湯を満たす。少し撹拌してから放置。洗濯は洗濯で大好きではあるが、洗濯機を洗濯するのもかなり好き。洗濯は毎日できるけれど、洗濯機の洗濯をするのは一ヶ月から数ヶ月に一度。

 少し前から背中の左側につっぱるような痛みがあり、先日のカイロプラクテックの調整で体としては快方に向かっているのはわかるものの、もう少し後押ししてやりたい感が湧くから、うちから車で15分くらいのところにある源泉かけ流し温泉に出向くことにする。女湯には岩盤浴もあるのでそちらも予約してから出発。

 温泉施設(日帰り入浴も可能だが宿泊できる旅館でもある)に着くと宿の送迎バスから日帰り利用のお年寄りのお客さんたちが続々と降りている最中で、宿の人たちが玄関で出迎え、昼間日帰り入浴料金千円と引き換えに入館利用券を手渡している。どのおじいさんもおばあさんもバスの中ですでに千円札を用意して握りしめてから降りてきたのだなあ。私は靴をロッカーに入れてフロントで受付をしてもらう。昼間日帰り入浴料金と岩盤浴料金合計で千五百円。岩盤浴用の大判バスタオル(岩盤に敷く)とバスタオル(寝転ぶときに体に巻くかかけるかする)がついてくる。岩盤浴時の水分補給用にフロント横の売店でペットボトル入り十六茶を買う。

 バスから降りてきたお年寄りたちは続々と大広間休憩場に入ってゆく。私は二階の大浴場へ移動する。この温泉には玄関を入ってすぐの一階部分に露天風呂付き大浴場があり、エレベーターで二階に上がって少し歩いたところに岩盤浴付き大浴場がある。この二階大浴場は脱衣所は二階にあるのだが、脱衣所で服を脱いだあと浴室に入るには浴室内の階段を実質一階というか地面と同じ高さまで降りる必要がある。そのためあまり足や脚が丈夫でない年配のお客さんたちはこの移動を避けて一階のお風呂を利用することが多い。

 浴場に降りて行くと誰もいなくて、今日はまだ誰もお風呂を使った形跡がなくて、わーい貸し切り一番風呂だーと喜びながらシャワーを浴びる。髪の毛を高い位置でひとつにまとめて岩盤浴室に入る。むわっとした熱気と蒸気に包まれる。岩盤スペースの「予約」プレートをよけて大判バスタオルを敷く。ペットボトルの胴体にロッカーの鍵をゴムでくっつけた十六茶ををそばに置く。普通サイズのバスタオルを掛け布団のように持って仰向けに寝る。体の背面にぬくもりがじわじわと行き渡る。

 しばらくしたら十六茶を飲んでいったん外に出る。岩盤浴室のすぐ外にある砂利風呂の縁に腰掛けて砂利風呂のお湯に足をつけて足湯状態で体を冷ましつつ休憩。それからまた岩盤浴室に戻り今度は背中側にバスタオルを持ってうつ伏せに寝る。これを何度か繰り返し、体がもういいです満足です、と伝えてくる声を待つ。

 途中でお年寄りが四人くらい入浴してきたが岩盤浴は利用しない。四人のうちのひとりは砂利風呂がお気に入りのようで仲間の人たちを砂利風呂に誘うのだが、他の人たちは砂利風呂にはあまり興味がないらしく大きな湯船に入ったあとは「今から頭を洗いたい」だとか「洗顔剤を持ってくるのを忘れた、ここのボディソープで洗うか」などと話して砂利風呂に入らない。砂利風呂に入っているおばあさんは「砂利風呂に入って横になったらどうせ濡れるからそのあとで顔や頭は本格的に洗えばいいじゃない、来なさいよー」と誘うが結局砂利風呂を利用したのはそのおばあさんひとりだった。そしておばあさんたちは「もうねえ、耳が遠くなってねえ、最近は内緒話いうもんができんようになったんだわあ、何を話しても大声みたいで」「そうそう、自分ちでふつうに電話で話してるつもりでも外の人に聞こえてるらしいわあ」「電話の相手も大声だしねえ」と互いの聴覚部門老齢化を語り合う。

 おばあさんたちが全員あがった頃に私は岩盤浴を終えていったん脱衣所に上がる。しばらく椅子に座って体を冷まして休憩する。その間もおばあさんたちはずっとおしゃべり。「お昼ごはんのあと帰る前には一階の露天風呂の方に入るんや」「私もそのつもり」「露天は顔が熱くならんでゆっくり入れるのがいいよね」

 おばあさんたちが全員出てから私はまた大浴場に下りる。持参のシャンプーで頭を丁寧に洗い持参の洗顔料で顔と体を念入りに洗う。頭は少し前に美容院でうっかり美容室備え付けのマッサージスプレーをつけてマッサージしてもらってから頭皮湿疹がずっとかゆくてなかなか治らず難儀していた。美容院にはいつもシャンプーとトリートメントとヘアオイルを持参するのだが、頭皮マッサージスプレーは持って行く時とそうでない時があり先日はそうでなかった。いつもなら「あ、なにもつけずにお願いします」と言うか「あ、持ってきてるんでこっちでお願いします」と言うかするのだが、なんとなく「あー、まー、いーかー」とそのまましてもらったら、まあよくなかった、ようである。シャワーのお湯でしっかり流したあとに洗面器で湯船の温泉水をすくっては頭に頭皮にかける。髪の毛の水気を切ってタオルで頭を包む。源泉を湯のみに汲んでふうふうと冷ましてから飲む。広い湯船に浸かって体を揉む。砂利風呂に入る。砂利風呂で仰向けやうつ伏せでお湯と砂利を堪能したら体がもうあがりましょうよと言ってくるからおとなしくあがる。

 頭皮の痒みが急速に引く。背中の痛みは軽い。少し前から痛かった左足人差し指のつま先はもう全然痛くない。夏に右足の親指の腹にできたさかむけ痕とその痛みもすっかり消えた。ここのお湯はほんとうに私の体によく合う。

 帰り道にコメリというお店に寄る。深めの植木鉢と軽石と観葉植物用の土を購入。何年も前に母がくれた「蚊連草」という蚊よけの観葉植物の植木鉢に「大きな鉢に植え替えてください」と買いてあるのをずっと放置していたのを植え替える用に。

 自宅近くの食堂で食事をとる。今日のメインの食事としてしっかりめに。きのこご飯、焼き秋刀魚、切り干し大根、きんぴらごぼう、小松菜と油揚げの炒め煮、高野豆腐、ワカメと胡瓜としらすの酢の物、ほうれん草のおひたし。秋刀魚は自分で買って自宅のグリルで焼いて食べるのもおいしいけれど、こうして焼いてもらった焼きたてを二百円でいただけるならそれもいいなあ。この食堂、私の旅先にもついてきてくれたらいいのに。そうしたら旅先でも食べたいものを食べたいだけ野菜中心でらくに食事ができるんだけどな。これくらいしっかり食べると今日の夕食はヨーグルトと青汁くらいでよさそう。

 そして本日余力があればやっておこうと思ったのは家電屋さんへ行くこと。大きな道路を超えて郊外の大型家電店に行く。目的はLEDライト付き拡大鏡。先日職場の先輩が「電気屋さんの招待会のカタログが来てたでしょ、あのカタログの最後のページに載ってるのを見た時に、これだ!!と思って、ちょうど他の用事で電気屋さんに行くことがあったから買ってきたの、三百円」とLEDライト付き拡大鏡を職場に寄贈してくださった。白色錠剤の刻印を監査するときにLEDの明かりをつけて拡大鏡で少しだけ大きくして見るとなんの薬なのかを素早く確認することができて仕事が素晴らしくはかどる。日常生活では何かを読むのも書くのもまったく裸眼で問題ないのだが、仕事中に大きさと形状が酷似した白色錠剤を見分けるときは老眼鏡は要らないけれど何かラクに見える道具があるといいなあ、と思っていたから「先輩、これは素晴らしいです、私が勤務するところすべて(といっても二箇所だが)に置いておきたい」と賞賛した。先輩は「三百円なのがまた素晴らしいやろ」と言う。

 家電屋さんでは過日先輩に教えてもらったとおり二階のレジ横のカゴ盛りコーナーへ直行する。ひととおり見て回りさらにもう一度見て回るが、ない。店員さんに「このカタログの最後のページのこれはどこにありますか」と尋ねる。店員さんも私が見たカゴ盛りコーナーをひととおり見て回りさらにもう一度見るが見つからず、耳につけているインカムのような機械と手元の何かを使って在庫有無の確認をする。そして売り切れで現在在庫なしということと注文取り寄せは可能ということを案内してくれる。「それでは注文をお願いします。それから、入荷後ここまで取りにくるのが手間なので送料負担してもいいですからメール便かなにか送料が安い方法で自宅に送っていただくことはできますか」と頼む。「ご自宅への配送については欠品商品のご注文ですからこちらで配送料は負担いたします。佐川急便での配送になります」とのことでありがたくお願いする。三百円の商品をみっつ注文した。一個は私の勤務先用に置こう、もう一箇所の勤務先には先輩の寄贈品があるから持っていかなくてもよくて、もうひとつは自宅で文字が異様に小さい「利用規約」などの文書を読む必要があるとき用に、残りのひとつは別の先輩が勤務に入る別のお店でもその先輩(錠剤監査用に小さな手元ライトを寄贈してくださっている)がきっと使いたいはずとふんで余分に購入。その先輩に、要る要る?と訊いてみて、ほしいー、ということであれば寄贈、えー別に要らなーい、ということであれば、LEDライト付き拡大鏡が既にある勤務先でいまある一個は調剤室用にして新しくもう一個をカウンター用に置いておいても仕事に便利かも、いいかも、と夢は広がる。

 ああ、よくがんばって家電屋さんでの買い物までこなしたね、と自分をねぎらいつつ帰路につく。帰ったら、浸け置きしていた洗濯機の洗濯の仕上げをする。それから温泉から持ち帰った洗濯物を洗って干す。体が「お昼寝しなさい、お昼寝」と眠気をもたらしてくるから、麻パッドの寝床に倒れこむ。だんだん涼しくなってきたけどまだまだ麻のひんやり感は極上の至福。お家にこもる休日も好きだけど今日みたいな休日も快適でいいな。夫の山小屋滞在時間も快適だといいな。     押し葉

大きな予定は一日ひとつ

 休日。大きな予定は一日ひとつ、を信条(あくまでも信条。複数の用事をしてはならないわけではなく、複数の何かをした場合にはきちんと自分の労をねぎらえばそれでよいことになっている)に暮らしている私にしては珍しく複数予定をこなした。まずは三月末に購入した車の六ヶ月点検。六ヶ月点検を今日行ってもらうことは以前から決めてあり代車の手配も依頼済みなのだが、何時頃持ち込むかについては当日になってから相談ということにしていたため、まずはその相談の電話をする。十二時過ぎから十二時半頃に持っていきます、ということに決まり、その時間に合わせて代車の準備をしてもらえることになる。

 それからカイロプラクテックの予約を行う。いつもかける予約用の一般電話番号にかけると「お客様がおかけになった電話番号はなんらかの事情により現在お繋ぎすることができません」という意味の案内が流れる。あらまあ、どうしたのかしら、廃業なさってたらどうしましょう、と思いつつ、登録電話番号の中からカイロプラクテック屋さんの携帯電話番号に電話をかける。なんの問題もなくあっさりとつながり午後一時の予約を取る。「実は今電話する前にいつもの一般の電話番号にかけたんですけど繋がらないと言われまして、携帯にかけさせてもらいました」と伝えると整体師さんが「そうなんですか、わかりました、確認してみます」と言われる。うちのインターホンの呼び鈴がなる。

「お忙しいところおそれいります。メットライフアリコのなになにと申しますが、一軒ずつご挨拶に回らせてもらっておりまして」
「そうですか、ご苦労さまです、でもうちはすでにもう広島にいた頃からずっとアリコさんにはお世話になっているんです」
「ああ、そうなんですか、こちらでの担当者は誰が。それともインターネットかなにかで」
「いえいえ、実家が広島なんですけれど、広島にいた頃からお世話になっている保険会社の担当さんにそのままずっと引き継いでもらって電話や郵便でサポートしてもらっているんです」
「ああ、そうでしたか、では今後ともメットライフアリコをよろしくお願いいたします」
「はい、こちらこそ」

 十二時を少し過ぎて車に乗って出かける。明日の夜から県外の山に車中泊と山小屋泊で出かける夫が「木曜日のうちにガソリンを満タンに入れておいてもらえるとうれしいです」と言っていたからガソリンを満タンにする。夫の趣味に協力的な妻の愛に満足する。

 ディーラーさんに車を持っていく。先週の時点で担当者の人には事前に電話で点検以外にも見てもらいたい箇所があることは伝えてある。一点はバックモニターがときどき映らず真っ黒な画面で表示される不具合について。もう一点はエアコン始動時にちょっと悲しい気分になるにおいがすることについて。どんなにおいかというと、カビ臭いといえばカビ臭いような、獣臭いといえば獣臭いような、そんなにおい。

 車を持って行き駐車場にバックで駐車しようとしたときにバックモニターが真っ暗表示になった。おお、これこれ、これを見てもらいたかったのよ、と思い、その表示が出た状態のまま、エンジンをつけたまま、受付に向かう。受付の人が「どうやらさまですね、ただ今代車のご用意をいたします」と言う。

「その前に、点検以外に見ていただきたいとお願いしていた不具合が、今ちょうどそうなっている状態なので、それを見ていただきたいんですが、お願いできますか」
「点検以外になにか伺っておりましたでしょうか」
「はい、担当の方にはお電話でお話してあるのですが、バックモニターが映らないことがあるということと、エアコンの始動時にへんなにおいがするのを一緒に見ていただけたらと思いまして、その時間も加味するとけっこうかかるだろうと代車をお願いしたのですが」
「そうだったのですか。申し訳ございません。どうやら様の点検シートにその記録がないものですから。本当にすみません。すぐに工場の者に伝えます」

 受付の人は受付からそのまま内部通路を通って工場の人に連絡に行く。私は外に出て自分の車の側で待つ。工場の人が私の車のバックモニターを見て「本当だ。映っていないですね。頻繁にこんなふうになりますか」と聞かれる。「そうですねえ、十回に三回といったかんじでしょうか」と答えると「それは多いですね」と言われるが「点検中の簡単な確認で直せればいいのですが、もしそれで直らない場合は原因を調べるのに少しお時間をいただきたいので、今日は点検のみで不具合な点については後日あらためて見させてもらうという形にさせてもらいたいんです」と続けられる。

「バックモニター以外、エアコンのにおいも気になるので一緒に見ていただけますか」
「どんなにおいがしますか」
「カビのような、といいますか、獣のような、といいますか」
「そうですか。わかりました。では、代車をお持ちいたしますので、しばらく中でお待ちください」

 店内の椅子にかけるとお店の方が「よろしければ何かお飲み物はいかがですか」と無料ドリンクのメニューを持ってきてくださる。暑かったからありがたく「ではカルピスをください」とお願いしてごくごくといただく。しばらくすると受付の人が「代車はご用意していたのですが、ガソリンがほとんどない状態で、本当にすみません、すぐに給油して参りますので、今しばらくお待ちいただけますでしょうか」と言う。「はい、お願いします」と言ってからしばらく待つ。十二時半を十分程度過ぎてからガソリンの入った代車を借りてお店をあとにする。

 一時のカイロの予約にちょうどいい時間になったな、と思いながら運転する。カイロ屋さんでは整体師さんが「電話の件、ありがとうございました。電話料金の引き落とし用のお金が足りなかったらしくて止められていました。すぐにお金を入れて無事につながりました」と言われ、私は「廃業でなくて安心しました」と応える。施術のあとで整体師さんが「いや、本当に助かりました、うちの嫁さんにバレる前に教えてもらえて。うちの嫁にバレた日にはもう稲川淳二の恐怖体験なんて目じゃないほどの恐怖がやってきますから。もう人格の全否定にまで至りますからね。『職業人としてそんなことでいいと思ってるの』とネバーエンディングで責められるんです」と言われるが、個人商いをしていて商い専用の電話が繋がらないというのはたしかに職業人としていかがなものかかもしれないと内心整体師さんの奥様の肩を持ちながら「よかったよかった。ありがとうございました」と挨拶して帰る。

 帰り道の運転をしていると携帯電話にディーラーさんからの電話が鳴る。運転中で取れなかったけれど、そして電話に出ないときにはメッセージを入れてくださいとお願いしておいたメッセージは入っていなかったけれど、点検が終わった連絡だろうと理解してそのままディーラーさんのところに戻る。

 点検は走行に必要な部分については異常なく無事完了。エアコンの異臭については一度時間をかけてエアコンフィルターの洗浄と清掃を行いたいので後日あらためて時間をもらいたい、ということ。バックモニターについてもすぐには原因がわからなかったのでこれもエアコンと合わせて後日一泊二日で預かって対応したい、とのこと。走行が六千キロを超えているので一度オイル交換もしておきたいがどうだろうか、と言われるので、新車購入時にいただいたオイル交換券を使ってのオイル交換をこれもエアコンとバックモニターの調整の時に合わせてお願いすることになる。

「今週の土曜日曜のお預かりですと代車のご用意が可能なのですが」
「ああ、それが、明日の金曜日から月曜日までは車を使う予定がありまして、月曜日の夕方以降で可能な日程を教えて下さい」
「はい、それでしたら、来週の木曜金曜か、金曜土曜、ではいかがでしょうか」
「えーと、では、来週の木曜日のお昼前後に車を持ってきまして、金曜日の夜に私の仕事が早く終われば金曜日の夜のうちに、もし金曜日に来れないときにはそのまま翌日まで預かっていただいて、土曜日のお昼前後もしくは夜に取りに来る、という形でもいいでしょうか」
「はい、承知しました」

 連休のうちに不具合の調整を済ませてしまえるとラクなところだけれども、夫が車を使いたい予定を忘れず思い出し続けてスケジュールの調整をした妻の愛に今一度満足する。

 六ヶ月点検を終えた車に乗って帰宅。このあとは故障したノートパソコンの梱包と発送の作業を行う。ダンボール箱に新聞紙を丸めて入れてノートパソコンとアダプターを入れ隙間に新聞紙をつめてガムテープで封をする。

 梱包作業を完成させて玄関に置いて待機する。送料のお金も玄関の鍵置き場のお皿の上に待機。生協さんの配達物を冷蔵庫に入れるものと常温で保管するものとそれぞれ片付ける。よしよし、ひととおり片付いたわ、と思いながら本日の洗濯第二弾に入ってしばらくするとクロネコさんが登場。まずは受取荷物を受け取る。受取印鑑よし。それから集荷してもらう荷物を手渡す。「100サイズでいけるかなーと思うのですが」と言うとクロネコさんは「はい、確認してみますね」とメジャーを出して手早く採寸し「はい、100ですね」。事前にパソコンから依頼していた送り状を持ってきてくださっていてそれを箱の上に貼り付けて機械でスキャンして会計。控えの伝票をもらって「よろしくお願いします」と見送った直後、あれ、そういえば配達時間の指定をしてないけれど、パソコン修理のお店のサイトに「午前中指定で送ってください」と書いてあったような気がする、と思い、クロネコさんをおいかける。クロネコさんは私の荷物を持ったまま車の後部扉を開けて車の中に入ったところ。荷物が載せてある後部からクロネコさんは車内を徒歩で運転席まで移動する。そうかー、クロネコさんの配達用の車の車内は運転席から荷台部分に歩いて移動でいる構造なのねー、そりゃそうかー、素早く配達作業をしようと思ったらいちいち運転席から出て後部扉を開けてってするよりも、運転席から荷台に移動して荷物を取って後部扉から出ていくほうが早いよなー、荷物を積み込むときも積み込んでいったん後部扉を閉めてから運転席ドアをあけるよりも、荷物を整理して置いてそのまま車内で運転席に移動できたらそのほうがいいよねー、と感心しながら、助手席の窓の外から「クロネコさーん、すみませーん」と声をかける。

「はい、なんでしょう」
「今お願いした荷物、時間指定してなかったんですけど、午前指定でお願いします」
「はい、午前ですね、わかりました」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 クロネコドライバーさんは荷物のところに戻ってペンで午前に印を入れる。私は自分の控え伝票に自分で午前に印を入れる。パソコン修理屋さんに「修理をお願いするパソコンを発送しました。伝票番号は下記のとおりです。到着しましたらよろしくお願いします」のメールを送る。そしてついでに「たしか午前着指定するようにって発送の仕方の指示のところかどこかに書いてあったよなー」と思ってそのお店のサイトを見るが、不思議なことにどこにもそんな指示がない。あれー。あれー。わざわざ午前指定のお願いをしに行かなくてもよかったのかしらー。まあいいけど。

 洗濯物を取り込んで洗濯物第二弾を干す。取り込んだ洗濯物をたたんでいたらインターホンが鳴る。

「お忙しいところおそれいります。メットライフアリコのなになにと申しますが、一軒ずつご挨拶に回らせてもらっておりまして」
「えーと、あの、もしかして、お昼ごろにも一度来てくださった方ですか」
「あれ、ああ、あれ、す、すみません、たしかにこちらには訪問済みの記録が。失礼いたしました」
「いえいえ、お疲れ様です、では失礼いたします」

 私もディーラーさんも整体師さんもクロネコさんもアリコさんもそれぞれによくがんばった一日であったなあということで。     押し葉

白米の色

 透明なビニール袋に入った新米を卓上に置いて鑑賞しながら新米を食べていた時に、夫が「これって精米してあるん?」と言うのでたまげた。

「どう見てもこのお米の色は白米の白だと思うんだけど、精米してない玄米か少しだけ精米した分づき米に見える? どうやらくん色覚がもしかして低下してるん?」
「ううん。白米に見える。いいじゃん。聞いてみたかっただけなんじゃけん」
「いいけど、心配になるじゃん」
「新米、おいしいね」

 そのとき卓上に置いてあった新米はその後お米を入れるプラスチックボトル(ボトルの蓋が計量カップになっている)に入れて冷蔵庫の野菜室で保管してある。炊きたてはもちろんのこと冷凍したのを解凍して食べてもおいしい。実家の母が「新米がまたほしくなったらいつでも言って、送るから」と言ってくれているのだが、新米の時期になることを失念していた私が生協で注文したと思われる無洗米(新米ではなく昨年収穫されたもの)の5kg入りが二袋あるため先にそれを食べる予定。     押し葉

みずみずしいお米

 夕ごはんに新米を炊く。普段は無洗米を使っているけど今日の新米はふつうのお米。お米のとぎ汁の白濁をにまにまと見つめつつ水を流す。無洗米よりは気持ち水多めに、でも新米だから気持ち水少なめに水をはる。炊飯スイッチスタート。しばらくすると炊飯器から新米が炊ける香りが漂う。

 洗濯物を取り込んで新しく洗濯したものを干している間に夫が帰宅する。着替えて手を洗い終えた夫に「納豆作ってー」「フライパンのおかず(ナスとベーコンの炒めもの)とスチーマーのブロッコリーをお皿に並べてー」とお願いしたらそれぞれにご飯をつぐところまでやって食卓に並べてくれる。洗濯かごを洗濯機の横に片付けて、いただきます。

「今日は新米だよー」
「うん、さっき見てわかった、ピカピカしてた」
「うんうん、つやつやでぴかぴかだよね。はふはふ。おいしい」
「そしてみずみずしいなあ」
「こういうみずみずしいお米をいただくと、お米もお野菜なのねえ、というか、穀物もフレッシュだとみずみずしいものなのねえ、って思うねえ」
「水加減もちょうどいいなあ。全然べちょっとしてなくて」
「新米はみずみずしくておいしいけど水加減次第でべちょっとねちょっとなることあるね。普段は一合ずつ炊くけどたくさん炊いたほうがおいしいかなと思って今日は三合炊いてみた」
「ほー。つやつやぴかぴかでしかも水加減完璧でおいしい」
「よかったよかった。この炊きたてご飯を冷凍しておくと冷凍ごはんを解凍して食べるのもたのしみになるね」
「おれの明日の弁当用のは保温でとっておいてほしい」
「ん、わかった、とっとく」

 おいしいご飯はおいしいなあ。
    押し葉

傘を開いて使う

 仕事中、患者さんが出入りするガラスの扉に雨が強く打ち付ける。患者さんが「ひゃあ」と言いながら入って来られると風と雨粒がお店のなかにびゅわっと入る。普段よりもやや湿気を帯びた処方箋を受け取り、そこからはいつもどおりの調剤作業。お薬をお渡しし終えた時の挨拶が「雨すごいので、気をつけてお帰りになってくださいね」になる以外はいつもどおり。

 仕事を終えての帰り道、車のワイパーが大活躍。ただでさえ暗いと見えづらくなるのにそこに雨粒がたくさん落ちてくるとさらに見えにくいよう、うう、と思いつつ徐行気味に運転。安全運転に安全運転を重ねて自宅駐車場に到着。自宅の部屋に灯りが見える。夫が先に帰っている。駐車場から自宅まで歩くあいだの濡れ具合がマシなようにタオルを頭にかぶりましょう、と仕事用のカバンからタオルを取り出そうと助手席に体を傾けたときに後部座席の足元に置いてある置き傘が見える。置き傘をさして歩いて帰れば自分の濡れは少ないけれど、濡れた傘をうちで開いて乾かしてそれをまた車に持って行くのが面倒くさいから傘をささずにタオルをかぶって走って帰ろう、と思う。

 いや、しかし待て。傘というものは、置き傘というものは、こういうときに使うために置いてあるのではないのか。と己に問う。自分の身が少しでも雨に濡れないように傘をさすのではないのか。雨が降ったときに使えるように置き傘を車内に置いているのではないのか。そうだ、ここはタオルでホッカムリするのではなく傘をさそうよ、車内置き傘を開いて使おうよ、と自分に言い聞かせる。

 雨は強いけれど傘をさしても風にはあおられない程度の雨。安全に歩ける。「ただいま」と帰宅して夕食のにゅうめんを食べ終える頃には雨音が静かになる。

 明日また置き傘用の傘を持って出て車の中に置いておこう。そして雨が降ったときにはまた開いて使おう。     押し葉

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プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

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