みそ文

桜前線渡り鳥

 外を歩いているとああ気持ちがいいと思い、車を運転していると暑いと感じる。そのときにはよし今日は素麺か冷やし中華にしようと思う。しかし家の中に入ってしばらくするとなんとなく肌寒く感じる。屋外と屋内はそんなに気温がちがうのかしら、と考えている間に素麺欲や冷やし中華欲がしぼむ。

 夫に「こんなふうに寒くなくて筋肉の緊張が少なくて、かといって暑くもなくて呼吸が涼やかでらくな、こういう気候のところでずっと暮らそうと思ったら、どこかそういう気候の土地が地球上にはあるのかな」とたずねてみる。

「うーん、それは、ちょっとずつちょっとずつ移動するしかないんじゃないかな。桜前線みたいに」
「桜前線は年中どこかを移動し続けているわけではないというかそもそも桜自体は移動はしていないと思うんだけど、たとえば渡り鳥みたいにってことかな」
「うん。そのときの自分にとってちょうどいい気候のところに自分のほうが移動するしかないと思う」
「それはこんなふうに暑くなくて寒くない気候がずっと続くようなところはないということかな」
「うん。地球の構造から考えて、ないと思う」
「そうかあ、ないかあ。ないかなあ、ないかあ。あると思ってさがしてもないかなあ。ああ、それはもう人類のご先祖様たちがさんざんさがし尽くした結果のいまなのかなあ。もし移動しながら暮らすとなると今みたいな定住のメリットは得られなくなるよねえ。私、定住、好きなんだけど。むかしはなぜかベドウィン(遊牧民)に憧れた時期があったけどあれは気の迷いじゃったわ。私は別に移動がしたいんじゃなくて、気候が穏やかなところに定住したいんだよねえ。移動は移動であって引越しとは違うからさ、かなり小刻みに移動して自分の北限まで行くけど、また寒くなったら小刻みに移動して自分の南限まで行くのを繰り返すんだよね。うーん、日本国内六ケ所くらいに自宅があって二ヶ月ごとに適度な温度と湿度と日照の場所に移るとしても、今みたいにひとつの職場で仕事を続けるのは難しくなるかなあ。季節労働者っぽく受け入れてもらう方法もないわけではないんだろうけど。ひとつの職場に慣れるのにはそれなりに時間も手間もかかるからなあ。しかも受け入れる側の人も移動する人たちだったりしたらどうなるんだろう。それにそんなに年がら年中気候が穏やかで過ごしやすいところがもしあったとしてもそこがとてつもなく広大な敷地というわけでなかったらきっとそこはすっごい人口が過密になるよね、そしたら人混みが苦手な私には快適じゃなくなるかもしれないねえ。ああ、やっぱり私今の暮らしが気に入っとるんかもしれん、気候も含めてそれなりに」
「よかったね。ごくろうさん」

 知らないうちに身体がちぢこまる寒い季節の筋肉緊張や自分の吐く息の温度でけだるくなる暑い季節の呼気のほてりがあるからこそ、今の時期の気候が身体に快適だなあと感じるのであって、ずっとずっと今のような暑くもなく寒くもない気候が続いたとしたら、その気候のおかげで身体が快適であることに気づかなくなるのだろうか。ずっと快適だけどずっと快適であることに気づかないのと、ある程度自分が許容できるかなと思える範囲内で快適でない時期があるけれど快適なときに「ああ、快適だ」としみじみその快適を味わうのとどちらがいいか選ぶとしたら私は後者なのかなあ。いや、やはり、常々快適なところにいて「ああ、快適であるなあ」と都度都度気づいて味わい続けられるとしたらそれはそれがよいような、よいような、どうだろう。     押し葉

記念日のお知らせどうもありがとう

 先月夫の誕生日を忘れてその週の週末を迎えた反省を活かすことにした。夫の誕生日を忘れたのは結婚して初めてだったが、実を言うと結婚記念日はその日付がうまく思い出せないことが結婚当初からすでに何度もあった。夫は「2+3=5、で5月23日というのは実におぼえやすく思い出しやすいではないか」と言うのだが、そう聞いたときには「ほうほうなるほどね」と思うものの、しばらくするとその「ほうほう」の何がどう「ほうほう」だったのかがすっかり思い出せなくなる。

 以前からグーグルカレンダーというものがあるのは知っていたのだが、なんのためにどのように使うものなのか見当がつかなくて使ったことがなかった。しかし、私のように大切な人の誕生日や大切な記念日をうっかり忘れるひとが「設定した日が近づいたらメールで教えてください」とお願いしておくとそれに応えてくれるらしいではないか。なるほど。自分の脳を鍛えるよりもそんな便利な機能があるならそれを利用するほうがよほど現実的で確実性が高いではないかとさっそく夫の誕生日と結婚記念日を登録する。一週間前と前日にメールで教えてください、と設定。

 先週の木曜日にグーグルカレンダーから「日時2013年5月23日:記念日」というメールが届く。とっさに「なにそれ?」「だれの?」「なんのこと?」としばらくひとしきりいぶかしく思ってから、ああうう、一週間前と前日にお知らせしてくださいとお願いしたのは私ではないか、と思い出す。そうだったそうだった、来週の23日木曜日が結婚記念日ね。結婚十九周年になるのかな。

 昨夜仕事から帰ってきて夫に「来週の木曜日、結婚記念日だよね」と伝える。夫は「おう、おおう、おめでとう、よろしく」と言い「あ、そういえば当日おれいないかな、いや帰ってくるか」と出張の予定があることを私に知らせる。火曜日水曜日と出張先に泊まって木曜日には帰ってくるとのことだが、それなら今日の夕ごはんを結婚記念日のお祝いにしようよ、と、土曜の夜のちゃんこ鍋屋さんに向かう道すがら提案する。

 今日のお昼前、隣県の日帰り温泉に行くつもりで高速道路に乗る。運転しながら「昨日の夕ごはんも今日の温泉お出かけも結婚記念日デートじゃね」と夫に言う。夫は「ちゃんこでディナー、日帰り温泉でお祝い、めでたいめでたい」と合いの手を入れる。ところが日帰り温泉施設にたどり着く随分手前でふたりとも空腹に耐えるのがつらくなり高速道路を途中で降りて漁港近くの魚料理屋さんで昼食をとることにする。日帰り温泉施設の食堂で温泉卵と温泉おにぎりとおうどんをお昼ごはんにするのもいいと思ったけど、魚料理屋さんのほうが結婚記念日お祝い度合いは高い。

 一階の魚売り場で選んだ魚のうち、ノドグロは一匹は焼いてもらいもう一匹は味噌汁にしてもらう。メバルは煮付けに。ノドグロもメバルも売り場のおばちゃんが「これなんかぷりんぷりんしてておいしいはず」と選んでくれたもの。そのおばちゃんが「今日は白トラエビもあるよ。今までももしあったときにはおすすめしてるはずだけど前にもあったかな」と言われ夫とふたりで「ここではまだいただいたことないと思う」と答えると「じゃあ、半分お刺身にして半分塩焼きにするのどうかな、おいしくておすすめなんだけど」と提案してくださる。「そんなにたくさん食べられるかな」と言う私に夫が「おれ腹減ってるから食べると思う」と言うから、「じゃあ、白トラエビもいただいてみよう、半分お刺身で半分塩焼きで」と注文する。

 二階の食堂に上がり席につく。一階で買った魚が厨房で料理されて出てくるのを待つ。魚以外で二階で注文するのは「ごはん」。メニューには「ごはん」だけは載っていなくて知らないとつい定食かなにかを頼みそうになるけれど、そんなことしたら食べきれなくなるか食べ過ぎで苦しくなるかだから「ごはん」だけを注文する。一階で魚を買わないときには二階で「刺身定食」「焼き魚定食」「煮魚定食」などをその日のおまかせおすすめお魚で作ってもらう方法もある。その他単品でなにか魚介料理を注文することもできる。ごはんだけを注文するとごはんだけでなく小鉢がいくつかついてくる。お漬物も。窓際に置いてある瓶入りのもみわかめは好きなだけごはんにふりかけて食べてよい。

 最初に出てきたのは白トラエビのお刺身。地元の甘めの醤油をつけて食べる。それから白トラエビの塩焼き。メバルの煮つけは甘辛く煮過ぎない程度に加熱してあり身はプリプリで目玉の周りはトロトロ。ノドグロの塩焼きはその皮の甘味と身の爽やかさのハーモニーにしびれる。そしてまるごと一匹をぶつ切りにしたノドグロの味噌汁、味がどこまでも澄んでいて上品で旨味とコクが深くていつまでもいつまでもそのままずっと飲み続けていたくなるその余韻にうっとりとする。

 夫に「昨日のちゃんこ鍋も今日のお魚もすごくいい結婚記念日お祝いのご飯になったね」と言いながら、よしよしこれでもうもしも当日結婚記念日のことを忘れてもこれだけ前もってお祝いしておいたらそんなにぎょっとしなくてよくて安心ね、となんとなくひそかに思う。グーグルカレンダーに事前にお知らせしてもらってよかったな。お知らせしてくれたグーグルカレンダー、前もってお知らせしてもらえるようにグーグルカレンダーに頼んでおいてくれた少しまえの過去のわたし、みんなどうもありがとう。     押し葉

梅おにぎりで心臓を丈夫に保つ

 今朝起きて、いつものように紅茶豆乳を飲み漢方薬とサプリメントを飲み、さて朝ごはんをいただきましょう、と炊飯器のふたをあけて、おうっ、おおうっ、ご飯が炊けてないっ、と気づく。昨夜炊飯器のタイマーをセットしたとき朝六時に合わせたつもりが夕方六時(18時)に合わせたらしい。生のお米が水に浸る。ご飯がないならパンを食べればいいじゃない、と言いたいところだが今朝は買い置きのパンがない。冷凍ご飯はあるにはあるが、今日のお弁当は炊きたてご飯の真ん中に梅干しを入れた塩むすびを作るのだ、おー、と昨夜決意したその決意の変更がきかない。まあ、まだ出勤まで時間はあることだし、炊き直しましょうよ、と自分に声をかける。

 早く炊くならガスレンジだよね、と、ガスレンジ用炊飯鍋を取り出す。電気炊飯器のお釜の中のお米と水をガスレンジ用炊飯鍋に移す。そこでふと、あ、そうか、朝ごはんに食べるぶんだけガスレンジで炊いてお弁当用のご飯は電気炊飯器で炊いたら、全部のお米をガスレンジで炊くよりも、朝ごはん用のご飯は早く炊けて、朝ごはんを食べている間にお昼ご飯用のご飯が炊けて、食事が終わったところで炊きたてのご飯をおにぎりにしたらいいのではないかしら、あら、いい考え、と思う。

 では、と、ガスレンジ用炊飯鍋の中のお米のうち三分の二の量はこれくらいかなあという量を電気炊飯器のお釜に戻す。電気炊飯器の水の分量は一合弱、ガスレンジ用炊飯鍋の水の分量は半合弱。よーし、炊飯だー。ガスレンジは火を点けたら「炊飯、洗米おき」のボタンを押す。電気炊飯器のほうはいつもどおり「極上炊き」設定のまま炊飯スイッチを押す。電気炊飯器の表示には残り時間四十分と表示される。この四十分は蒸らし時間も込みの時間。

 ガスレンジでの炊飯は早い。一合以下なら五分前後。その後蒸らしの時間を入れても十五分前後。先にグリルで焼いておいたシシャモをシシャモだけで食べる。ううむ、シシャモを焼き過ぎるのはよろしくないわね、今夜焼く予定の残りのシシャモは焼き過ぎずふんわりかりっと仕上げよう。シシャモのお腹の中の卵をたっぷり食べたあとだけど、今朝は目玉焼きも食べようと思っていたから目玉焼きを焼く。白身は白く焼けたけど黄身はまだまだ生だなー、という段階でフライパンの火を消してあとは余熱で焼けるのを待つ。その待ち時間がちょうどご飯が炊き上がって蒸らし終わるまでの時間くらいかなあ、と思いつつ白菜の漬物を用意する。

 ガスレンジの炊飯仕事が終わったよと知らせる音がなる。炊飯開始からの所要時間は六分三十秒くらいだろうか。そこで梅とちりめんと青菜のふりかけを炊き上がったばかりのご飯に混ぜこむ。しばらく蒸らす。十分前後経ったかな、なあたりでお茶碗にご飯をよそう。ふりかけがご飯の蒸気でやわらかくほぐれて彩りも美しくおいしそう。お皿にのせた白菜の漬物の横に目玉焼きを置く。堅焼きではない程度ででもとろとろの部分はない程度に上手に柔らかく焼けた。濃い目に入れた緑茶を飲んで、くう、おいしい、と思ってから、ホクホクご飯と目玉焼きと白菜のお漬物を食べる。その間に電気炊飯器が熱心に働く。

 朝食を終え、ごちそうさまでしたと手を合わせ、緑茶をまた飲み、くう、おいしい、と思う。食洗機に入らない大きめの洗い物だけしておこうかなと洗い物をする。お弁当に持って行くつもりのたくあんを必要なだけ包丁で切る。黄色いたくあんをサランラップに包む。電気炊飯器がご飯が炊きあがりましたよの音を鳴らす。ああ、ちょうどいい時間だわ。

 最近はたまにおにぎりを握るときにはサランラップを置いたお茶碗にご飯を入れて塩をかけてラップごと握ることが多かったけど、今日は素手に水と塩をつけて握りたい気分だからそうする。梅干しは我が家で2007年に漬けたもの。梅干し一個の種を外して梅の実を三等分にちぎる。ご飯もしゃもじでだいたいなんとなく三分割に線を引く。ボウルの水で手を濡らして、小さなお皿にのせた粗塩を両手のひらにつける。ご飯を手のひらにのせる。あつ、あつ、でもだいじょうぶ。ご飯の中央にくぼみをつけて梅干しを置く。まわりのご飯で梅干しを隠すようにして三角おにぎりに形成する。できあがったおにぎりには海苔を三角の三辺から包むようにはりつける。みっつのおにぎりをアルミホイルに並べてもう少し冷めたら包みましょう、と他の出勤支度をする。お昼ごはん用には今日は渋めの緑茶を保温マグボトルに。勤務中の水分補給にはペットボトルになたまめ茶を。

 すべての支度が整い家を出る。私の車はうちのマンション前の専用駐車場から少しだけ離れた民間駐車場に駐めてある。その駐車場からは我が家を含めうちのマンションのベランダが見える。今日はいいお天気だからか皆さん景気よく洗濯物やお布団を外に干しておいでだわねえ。あら、うちのベランダの手すりに布団が干してあるわ。ええと、昨夜私が使った掛ふとんはベランダではなくてサンルームに干して除湿機と扇風機をあてて出てきたよね。ということはあのベランダの手すりのお布団はどの布団をどこの誰が親切に干してくれたのかしら。夫は月曜日から今日まで出張で不在だから夫ってことはないね。他に我が家にいるメンバーといえば。

 はあううっ。あの布団は私が少し前まで使っていた冬の掛け布団だ。少し前に掛け布団を薄手のものにかえた。そのときにそれまで使っていた冬用の厚手の掛け布団は今度干してから片づけましょうと思った。それを干したのは、昨日の、午後の、私だ!! 昨日の午後干して今朝の今まで忘れていた。昨夜一晩中我が家のベランダの手すりにはあの布団がかかっていたということなのか。

 車の助手席に荷物を置いて時計を見る。一度家に戻り布団を取り込む時間は、ある。駐車場から自宅に駆け戻る。玄関を開けてベランダに出て布団を取り込む。うわー、ふかふかー。そのまま押入れに置いてすぐさま玄関を出る。

 通常であれば誰よりも早く職場に着き鍵を持つ同僚が出勤するのを待ちつつ職場周辺のゴミ拾いなどするのだけれども、今日はもう他の人達が先に来て開店前の掃除を始めていた。私は「おはようございます、すみません、遅くなりました」と挨拶する。同僚たちは「おはようございます、だいじょうぶ、まだまだ始業時間前ですよー」と言いながら掃除を続ける。私もすぐに白衣に着替えて台拭きを濡らして拭き掃除を始める。

 ひと通り掃除を終え台拭きを水洗いしている時同僚に「さっきさあ出勤しましょうと思って車のところまで来たらうちのベランダの手すりに布団が干してあるのが見えて、あらまあ親切に誰が干してくれたのかしら、と思ったら、その親切な人は昨日の私だったんです。昨日の夜はベランダの手すりに布団を干したままで一晩眠ったみたいで。慌てて戻って取り込んで、ちょっと遅くなっちゃいました。ああ、びっくりしたー、お布団がベランダにあったことにも、自分がひと晩それを忘れていたことにも」と話す。同僚たちは「うわー、昨日の夜雨降らなくてよかったねえ」と笑う。「ほんとうにびっくりしましたー」と言う私に同僚は「昨日の夜寝るのに布団がなくて困るとかはなかったってことなんやね?」と問う。

「はい、干していたのは冬のお布団で、いまはもう使ってないから、それがなくても寝られたのがいかんかったですねえ」
「ああ、私も、布団じゃないけど、毛布なら、ある」
「毛布、ですか」
「そう。冬が終わってそろそろ洗って片づけましょうと思って、洗って二階のベランダに干したんやねえ。そのことをずっと忘れてて、寝室で夜カーテン閉めてて『あれ、ベランダに毛布がある、いつからだ、洗ったのはいつだったっけ、昨日じゃない、一昨日じゃない、三日前、四日前、それすら思い出せない、うわーっ』と思って慌てて取り込んだことがある」
「えーとそれは」
「もちろん洗いなおしたよー」

 もうひとりの同僚は「私はまだ布団関係ではないなあ。でも、ああ、もうじぶんダメやわ、と思ったのは、仕事帰りに車で寄ったスーパーで買い物してそのまま歩いて帰ったとき」と話す。

「そ、それは、なにゆえ」
「ほら、うちからスーパーは近いからさ、普段家から行くときには歩きなのね、それでなんとなくその習慣なんかなあ、仕事帰りのときには車に乗って行ったのに買い物してる間にじぶんが車で来たことを忘れたらしくて」
「うわー、どこで気づいたんですか」
「うちの玄関。家に帰ったら私の車がなくて、ああ、なんかダンナが私の車が必要なことでもあって使っているのかしら、と思いながら、あれ、でもそういえばダンナの車もないよな、うちの子はふたりともまだ運転年齢じゃないよね、と思いつつ玄関に入って、わーっ、スーパーの駐車場に車忘れて帰ってきてもうたーって」
「それで、またスーパーまで車取りに行かれたんですか」
「うん。玄関で子どもたちに『あんたたち、この袋の中身、冷蔵庫に入れるもの入れといて』っておもむろに言いつけて、外に出て、てくてく、と」
「うっ、ううっ、と涙をぬぐいつつですか」
「そうよー、うっ、ううっ、だったよー」

 これからまた大きくなると今朝のお米やお布団よりもさらに思いがけない驚きに遭遇するのかもしれないな。心臓を丈夫に保つようこころがけようっと。     押し葉

所望するのが聞こえたら

 昨夜寝る時に体が「抱きまくらを所望する」と要求する気配を感じ押し入れから抱きまくらを出す。少し前に洗濯済みの抱きまくらカバーをかぶせていつでも使えるようにしておいたもの。コンドロイチンを多めのなたまめ茶で飲んでから布団に入る。布団の中で抱きまくらを抱く。ああ、膝がらく。横向きに寝た時に膝の内側と膝の内側が重なるとむかしから痛い。両膝の骨と骨がカチカチと重なり合うために起こるようなそんな痛み。抱きまくらを膝と膝の間にはさむとそのカチカチがなくなる。しかしこの抱きまくら、ずっと押入れにいたせいでちょっと湿気ている。明日はサンルームで干そう。

 今朝起きて抱きまくらをサンルームに干す。布団干し兼洗濯物干しの上に横たえて除湿機と扇風機の風を当てる。コンドロイチンをまた飲む。食パンをトーストしたものを食べてごちそうさまでした。睡眠としては十分に眠った感覚があるのに、体が「体を横たえることを所望する」と要求する気配を覚える。はあ、横ですか、と、とりあえず居間のこたつで横になってみる。体が「ここじゃなくて寝室のお布団の上に横たわりたい」と言ってくる。ううむ、別に眠たくはないのだけれど、と思いつつ寝室に移動。抱きまくらはサンルームにいるから掛ふとんを膝と膝の間にはさんで体を横たえる。

 夫は映画館で「探偵はBARにいる2」を観てからその後山歩き用の靴の修理を依頼しに好日山荘(アウトドア用品屋さん)に行くと言って出かけた。その間寝ているような寝ていないようなうつらうつらとした時間に身を任せる。午後になって夫が帰宅する。はあ、よく寝た、というかよく横になった、と伸びをする。ん、んん? なんとなく膝が痛くないかも。布団から起き上がる。あれ、やっぱり膝が痛くない。昨日から今朝までは動いている時もじっとしている時にも膝の内側に痛みがあったのに、動いてもじっとしても痛くないぞ。わーい、わーい。夫に「いっぱい寝たらね、膝の痛いのがなくなった」と報告する。夫は「それはよかったね」と言う。

 長時間体を横たえたせいで今度は腰からおしりにかけての圧迫痛は生じたが、これはロングスリーパーとしてはまあときどきあることでやり過ごし方も知っている。膝が痛いのよりもずっと気楽。膝が痛くないっていいなあ。先週の火曜日の疲れが長引いているなあとは思っていたけれど、その疲労対策が必要ですよ、という意味も込めての膝痛だったのかもしれないなあ。

 さっきまでかけていた掛け布団をサンルームに干す。枕も洗濯物干しにのせる。敷ふとんをおこして壁にたてかけ送風機の風を当てる。今夜はよく乾いたお布団でふかふかぐっすり眠るのがたのしみ。     押し葉

膝の夜と朝

 昨夜寝ている最中に左膝の痛みで目が覚める。が、眠い。体の声をおとなしく聞くときであれば、眠くても面倒でも起きだして薬置き場から湿布を取り出し膝に貼るのだろうな、と思いつつ、ダメだ今日は起き上がれない、と、そのまま手のひらを膝に当てて痛みを和らげようとする。うーん、痛いのも痛いが眠いのも眠い。その後は眠れてはいるもののずっと脚の夢を見る。左足のすねの内側というのかふくらはぎの内側というのか、そこに縦にスッパリと深い長い切り傷。長さは20センチメートル程度、深さは3センチくらい。傷の中にはそのままとっておきたい細胞と洗い流したい汚れたなにかが混ざって入っている。洗い流すとしたら水道水ではなく生理食塩水を使わなくては、と思う。

 夢の中では痛いのは膝ではなく切り傷。ぱっくりと開いた切り傷が痛まないように指で手繰り寄せくっつける。餃子の皮を包むみたいに。痛みが少しマシになる。でもまたしばらくすると傷が開いてきて痛い。その繰り返し。ああ、こんなことならさっさと起きて湿布貼って、なんなら痛み止めの飲み薬も飲んでぐっすり寝たほうがよかったような。

 目覚まし時計が鳴る。膝の痛みがよみがえる。パックリ縦傷はもうない。

 起きたらうがいをして顔を洗う。うがいをしながら指のひらで歯茎をマッサージする。きゅるきゅると音がしたら口をゆすぐ。化粧水を両手で顔にしみこませる。よく眠れた日もそうでない日も翌日のこの時には鏡に向かって「よく寝た」とつぶやく、もしくはそう思う。電気ケトルでお湯を沸かす。冷蔵庫から目薬とサプリメントを出す。アレルギーの目薬をさす。紅茶と緑茶を入れる。紅茶にはアカディと豆乳を加える。緑茶はそのまま葉を泳がす。

 毎日飲む漢方薬とサプリメントを紅茶で飲む。胃の腑があたたかくなる。バナナをフォークでスライスして食べる。朝ごはん用に買っておいたセブンイレブンの食パンを噛む。緑茶を茶こしでこす。渋目の緑の液体がからだの隅々まで行き渡る。

 そういえば最近以前にも増してコンドロイチンの飲み具合が不真面目だったかもしれない。よししばらくまた少しまじめに飲もう。ごっくん。寝ている時に痛かったのは左膝だけだったけれども、起きてみると右膝も痛い。両方とも痛いのは内側。左右の膝の皿の内側に貼り薬を貼る。よし、これで一日ちゃんと働けそう。しばらく、食べるものも飲むものも身体の動かし方も膝強化保護月間でいこう。     押し葉

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プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

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