みそ文

ETCの読み方は

 今となってはあの時のあれはなんだったんだろうと思うことがいろいろある。

 今は車に標準搭載されているETC車載器を昔は各自で後付けしていたのはまあいいとして、まだ世の中にETCはないけれど、もうしばらくしたらETCなるものが整備されていろいろオトクに便利になりますよ、楽しみにしていてね、という案内が高速道路のあちこちに掲示され始めた頃。
 案内を何度も何度も目にするようになり、これはどんなものなんだろうね、と興味を持ち、後続車がいないのを確認してから、料金所の人に尋ねる。
「イーティーシーについて何かわかる資料があったらいただけますか」
 すると料金所の人は
「イーティーシーじゃなくてイーテックですけど。ここにあるのはこのチラシだけなんで、またサービスエリアの案内所で詳しいものをもらってください。イーティーシーじゃなくイーテックですよ」
と言う。
 お礼を伝えて走行する。夫と「ETCと書いてイーテックと読むか?」と訝しむ。

 それから何年か経って、テレビでも「ETCが始まるよ」的な広告が放映されるようになる。そこではETCは「イーティーシー」と発音されていて、「ほら、やっぱりイーティーシーじゃん」とテレビに向かって口々に言う。
 さらに時が経過して、実際にETCシステムが運用され、高速道路をよく使う我が家もETC車載器を車につけましょうという段階になった頃には、車載器を売るお店の人はもちろん、ETC車載器本体の音声も「イーティーシーカードが入っています」と自らを「イーティーシー」と呼ぶようになっていた。

 料金所の人が私たちに「イーテック」だと教えてくれたあの頃は、まだETCの呼び方を「イーテック」にするか「イーティーシー」にするか迷いのある時代だったのか、料金所の人が独自に「自分の力でETCの呼び名をイーテックにしてみせる」と思っていたのか、あるいはあの料金所の人は狸か狐で私たちは化かされたのか。

 今となってもやはりどうでもいいことだけれども、あの時のイーテック情報はいったい何だったのだろう、と何度でも思い出すたびにそう思う。     押し葉

停電と共感

 北陸では冬将軍様が「これから本気を出すつもりです」というタイミングでわりとよく激しめの雷が鳴る。雷が鳴ると、もう少ししたら雪が降るのかな、とか、BS4Kの画面と音声がまた不安定になるのかな、などいろんなこころづもりをする。
 あとは雷に反応して警報音が鳴り響く車が時々存在するので、ああ、また鳴るのかな、車の持ち主が早めに気づいて音を止めに行ってくれるといいな、とも思う。

 先日仕事から帰ったら、家の中のあちこちに停電があった気配が残っている。いつもなら点灯したままなはずのものが消えていて、先に帰っていた夫に「あれ? 停電でもあったのかな?」と声をかける。普段ランプが点灯したままなのは、電話の留守番メッセージ録音応答ボタンや、常時稼働している空気清浄機など。
 夫はなぜかやや強めの語気で「おれは何もしてない」と言うから、「いやいや、責めているのではなくて」と言うと、今度は「おれに心当たりはない」と言う。
 消えたランプたちを常時点灯の状態に戻して、「マンションの電気工事はこの前終わったところだし、何があったんだろうね」と話す。

 翌日出勤したら、同じ居住区域に住む同僚たちが「昨日の停電長かったね」と話していた。私は居住区域とは異なる区域の職場で仕事をしていたから自宅の停電には気が付いていなかったけれど、午前中で退勤したり休日だったりした同僚たちは「1時間以上は停電してた。寒いし、冷凍庫の食品が心配だった」と言う。
「やっぱり停電だったんですね。私はここ(職場)にいたから知らなくて、帰ってからいろいろ消えてて、あれ?と思ったんです」
「そうそう、うちらの区域だけだめになったらしいわ。ここは無事でよかったね。停電したら仕事ができない」
「停電の原因は?」
「雷。停電になる前に雷が落ちてた」
「そうなんだー。それも知らなかった。うちに帰ってから夫に停電だったんかなって言ったら、『おれは何もしてない』ってすごく牽制してきて」
「わかるわかる。私もうちの子どもたちに『この停電はあんたたちがゲームしすぎたせいじゃないか』って言いましたもん」

 そのあとすぐに仕事がだだだーっと忙しくなって、その話はそれきりだったけど、あとになってよく考えたら、あの時の同僚の「わかるわかる」はわかるのベクトルが反対のやつだったのかな、と思う。
 「責めてるわけじゃなかったのに」という話に「わかる、そこは責めるよね」という共感。

 「外食で注文する時にご飯を少なめにしてくださいとお願いするのをついうっかり忘れて、しまったな、と思う」と話した私に「わかるー。私も毎回ご飯大盛で注文しようと思うのについうっかり忘れるからくやしい」と共感してくれた人がいた。
 その人は、私が「回転寿司屋さんには11枚の壁があるみたいで。夫とふたりでうちはどんなに頑張って食べても11皿が限界だなって話したの。もっとたくさん食べられたらもっといろんな種類を楽しめるのにねって」と言ったとき、「すっごくわかる。うちも夫婦で回転寿司に行くと、どんなに頑張っても11皿以下になることがなくて、たいていは20皿は超える。けっこう満腹な状態で行っても12皿は食べる。自分たちが11皿以内に抑えるのは無理なんやな、11皿くらいで済んだら出費ももっと安いんだろうにな、ってよく話す。11枚の壁はたしかにあるよね」と共感してくれた。

 共感の内容が同じ方向ではなくても、その話題のそのネタには何か思うところがあるという共通点があれば、共感は成立するのかもしれない。     押し葉

加湿器の水

 冬になると加湿器にお世話になる。タンクに入れた水を加湿器が沸騰させて湯気を出してくれるタイプ。何年も使っていると、ミネラルが固着するだけでなく、本体のプラスチック部分が劣化してぽろぽろと欠ける。クエン酸でミネラルを掃除して、何年かは使うが、本体自体が壊れて、電源が入らなくなったり、使っていると水漏れするなどの不都合が生じる。それで本体を廃棄する時には、水を入れるタンクを残して保管する。同じ機種の加湿器を買って使うと、残しておいたタンクが予備として使える。
 加湿器を使う時、タンクの水が空になって、そのタンクに水を入れるという使い方でもまあよいのだが、予備のタンクに水をくんでそばに置いておき、給水が必要になった時には、水の入った予備のタンクを使うと、なんとなく手間と気持ちに余裕ができる。
 空になったタンクを水道に持って行って水を入れて持って戻り加湿器にセットする、よりも、水の入った予備のタンクをセットして、空になったタンクにはその場で水を汲んでもよいし、しばらくどこかに置いておいて、また動線的に水道方面に行く用事があるときに水を入れてから加湿器のそばに置いておくと、加湿器の水のお世話をするのが面倒くさいな、という気持ちが少し小さくなる。

 これはおそらく灯油ファンヒータの給油でも同じで、ファンヒータが給油を要求したときに、ファンヒータから給油タンクを取り出して、たいていは屋内のわりと寒いところに置いてある灯油置き場に持っていき、灯油をポンプで入れるために必要な時間を待ち、灯油が手につかないように気を付けながらポンプのホースを片付けて、ファンヒータに灯油タンクをセットするのは、なんとなくかなり面倒くさい。
 同じサイズの同じタイプの予備の灯油タンクがあれば、予備のタンクに灯油を入れて用意しておき、ファンヒータの灯油がなくなった時には予備のタンクに入れ替えるだけにして、空になったタンクにはまた昼間の暖かい時間帯にでも、気が向いたときに入れて、また予備として置いておくのであれば、灯油ファンヒータにおける面倒くささがかなり小さくなる気がする。

 我が家では灯油ファンヒータとはもうずいぶん前にお別れして、ガスファンヒータとの愛をはぐくんでいるから、灯油のお世話をすることはないのだけど、冬にガソリンスタンドで灯油を購入している人たちを見かけると、そうそう、灯油ファンヒータは、家庭内での給油作業以外にも、こうやって灯油を買いに出かけるのもそういえば重くて手間だったよなあ、と思い出す。

 さあさあ、どちらの皆様も、おうちの空気を心地よく、加湿器と暖房であたためて、快適な冬を過ごしましょう。     押し葉

季節の制服

 もう何度も何十回もこの季節を生きてきたのに、この時期になると毎年のように、どんなものをどんなふうに着て過ごしていたのか、どんな格好で過ごすのが快適なのか、思い出せない。着るものだけでなく寝具もどんな生地の何を敷いたりかけたりするといいか、寝間着の素材や厚みをどれにするといいのか迷う。迷って着てみて寝転んでみて、ううむやっぱりこれでは熱いか、と薄手のものに着替えることもある。
 いつ頃どんなものを使っていたか記録しておくと参考になるかもしれないと思い記入した記録を読み返してみても、この年は遅くまで暑かったのね、この年は早くから寒くなったのね、と、毎年あんまりおなじ気候ではなさそうなのがうかがえるのみで、そっか、この時期はこれだったこれだった、とすっきり解決はしない。
 自分にとって快適な、気候ごとの制服みたいな組み合わせを決めておけたらいいのだけれど。     押し葉

梅シロップの炭酸水割カボス入り

 お酒を飲めなくなってからもうずいぶん長く経つ。十年前にはすでに飲めず、15年前にも飲めなくなっていただろうけど、二十年前はどうだったかというとどうなのだろう。
 ある日ぱたりとぴたりと、どんなお酒もそのおいしさがわからなくなり、飲むと気持ちがわるくなり頭痛がするようになった。それまでは、自分はお酒を味わうために愉しむために、お酒と食べ物とのマリアージュを堪能するために、生きているのだとかなり本気で思っていたから、その味わいも愉しみも堪能も得られなくなったことは、なかなかに衝撃的で、状況を受け入れるのにだいぶん時間がかかったと思う。
 今はもうこれといった未練はないものの、お酒を飲んでこそおいしい食べ物に関しては食指が動かなくなった。
 それでも、食事前に食前酒的になにか愉しい飲み物を飲みたくなることがある。
 最近気に入っているのは、梅シロップの炭酸水割。梅シロップは「梅酒みたいなノンアルコール」を愛用している。

 今日職場で同僚の自宅の庭で採れたというカボスの実をいただいた。以前にも、いつだろう、七年か八年くらい前にも、カボス大豊作の年があり、たくさんカボスをいただいたことがある。
 当時は、カボスをいただいたからには、サンマを買って帰らねば、と勇んでスーパーに行き、サンマを焼いて、大根おろしをおろして、カボスを絞って、醤油をたらして、おいしくいただいた。
 今はお店で生のサンマは私の行動エリアでは売られていないので、サンマなしでカボスをおいしくいただくとしたら、どうしたらいいのかな、と考えて、そうだ、炭酸水に絞って入れたらおいしいのでは、と思いつく。
 炭酸水に入れたらおいしいのはきっとたしかで、それなら梅シロップの炭酸水割に入れてもおいしいのでは、と予想する。
 梅シロップを入れて、洗って半分に切ったカボスを絞って、その実を丸ごと入れる。そこに炭酸水を注ぎ込む。
 ああ、香りも味も、カボスありのほうが格段においしくてたのしい。
 いただいたカボスがある間は、毎日梅シロップの炭酸水割カボス入りを作って飲もう、そうしよう。     押し葉

三年経過のマットレス

 3年と少し前に乳がんの手術を受けた。その手術の少し前に、広島に住む弟夫婦と姪(弟夫婦の娘)が北陸に来た。あの時のみみがー(姪)が大学一年生だったということは、三年たった現在は大学四年生ということで、三年たてば新生児は三才になるし、大学一年生は留年しなければ大学四年生になっているんだな、と思う。
 
 手術の少し後に抗がん剤治療をしていた頃、副作用の吐き気がひどくて、寝床で横になるのがつらく、でも背もたれをあげていると吐き気がマシなことに気づき、電動ベッドのレンタルを始めた。その電動ベッドには今もお世話になっている。背もたれをあげて寝ると逆流症状が起きにくくすごく助かっている。
 ベッドのレンタル料金は月々2000円で、サイドテーブルが300円。マットレスは2500円でいつでも交換できる。
 いつでも交換できるのに、この三年間一度もマットレスの交換をしていなくて、先日初めて交換した。交換した新しいマットレスはパーンと張りがあり横たわる全身をしっかりと支えてくれる。
 3年も放置せず、もう少しこまめに交換しても、交換したほうがいいような気がするので、今度からはそうしよう。     押し葉

じゅんさいのお味噌汁

 6月末から7月上旬になると、生協カタログに秋田県の「じゅんさい」が掲載される。見つけると時々購入して味噌汁にする。開封してざるにあけて、さっと水洗いすればして、あつあつの味噌汁に泳がせて一瞬煮る。ぷるりつるりにょろりとした食感とわずかな苦みがおいしい。
 先日誕生日に食べたじゅんさいが今季最終だった。また来年も食べられるといいな。     押し葉

布団の中

 暑くもなく、寒くもなく、冷房も暖房も必要なく、気持ちいいな快適だなと思いながら眠り、目覚めた後も、もう少しこのままでいよう、とお布団の中でゆうるりと過ごす時間は至福。     押し葉

生地の自由

 少しずついろんなことが夏仕様になっていく。布団カバー、枕カバー、抱き枕カバー。着るもの、身に着けるものの生地。コットンとリネンとシルクをいい塩梅で使い分けたり重ね着したり。季節と気候と体の状態に応じた生地を選ぶ自由のあるおとなになってよかった。     押し葉

買い物かごと買い物袋

 毎週日曜日の夕方に一週間分の食材を購入する。毎週木曜日には生協さんの配送があるから、注文していれば、その時にも食材が手に入る。
 日曜日の買い出しで買ったものは、スーパーで購入した『お買い上げ商品専用かご』ひとつと、持参のマイバッグに入れて持ち帰る。お買い上げ商品専用かごは、商品をレジの人にそのまま入れてもらうにはたいそう便利なのだが、重いものを入れて持ち運ぶには作りが少々心もとない。マイバッグは保冷素材で作りがしっかりとしており少しくらい重いものでも安心してらくに持ち運ぶことができる。
 以前はこの保冷マイバッグをレジのかごにセットして、レジの人にはその中に直接商品を入れてもらっていたのだが、感染症対策のためマイバッグに直接商品を入れてもらうことができなくなった。
 どうするとお互いに安全で速やかかな、といろいろ試した結果現在は、専用かごにレジの人が入れてくれた商品のうち、冷凍品や重いものは専用かごの隣に置いたマイバッグにその場で入れている。レジの人が次の商品を店内用買い物かごから取り出している間にマイかごの中から重いものを取り出す流れは、レジの人と手がぶつかることもなく、何かの連係プレイのように滑らか。この方法だと、会計を終えた後で、サッカー台に移動して商品をかごからマイバッグに詰め替える手間がなく、素早く退店できる。よい方法に辿り着いてよかった。     押し葉

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プロフィール

どうやらみそ

Author:どうやらみそ
1966年文月生まれ

ときどき、思い出したように、いただいたメッセージへのお礼やお返事をリンク先の「みそ語り」に書いています。よろしければ、いつでも、どうぞ、どなたでも、ご覧ください。「みそ語り」では、メッセージをくださった方のお名前は書いておりませんので、内容から、これは自分宛かしら、と推理推察しながら読んでいただければうれしいです。手の形の拍手ボタンからメッセージをくださる場合は五百文字以内、文字の方の押し葉ボタンからメッセージをくださる場合は千文字以内となっております。文字数制限なくお便りくださる場合には、下のメールフォームをご利用ください。

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